マンションには耐用年数があります。一般的には築30年を超えると共用部分の給排水管など様々な部分に傷みが出始めると言われています。さらに年月が経過すると、建物が利用できなくなった事態に備えて対応策を考える必要が出てきます。その際の選択肢の一つとして「建替え」があります。(2020月3年、アセットアイデア)
老朽マンションの増加
国土交通省の統計では、分譲マンションは全国に約654万7000戸(2018年末)あります。このうち、築40年超が約81万4000戸。築30年超だと約197万8000戸にのぼります。10年後の2028年には築30年超の分譲マンションが約366万8000戸になる見通しです。
日本の分譲マンションの数(戸数)の推移
年 | 新規供給 | 累計 |
---|---|---|
2018 | 10万 | 654万 |
2017 | 10万 | 644万 |
2016 | 10万 | 633万 |
2015 | 10万 | 623万 |
2014 | 12万 | 613万 |
2013 | 11万 | 601万 |
2012 | 10万 | 589万 |
2011 | 8万 | 579万 |
2010 | 9万 | 571万 |
2009 | 17万 | 562万 |
2008 | 16万 | 545万 |
2007 | 22万 | 528万 |
2006 | 20万 | 505万 |
2005 | 19万 | 485万 |
2004 | 18万 | 465万 |
2003 | 19万 | 447万 |
2002 | 20万 | 427万 |
2001 | 20万 | 406万 |
2000 | 17万 | 386万 |
1999 | 16万 | 368万 |
1998 | 18万 | 351万 |
1997 | 18万 | 333万 |
1996 | 20万 | 315万 |
1995 | 19万 | 295万 |
1994 | 13万 | 277万 |
1993 | 11万 | 263万 |
1992 | 17万 | 252万 |
1991 | 18万 | 234万 |
1990 | 16万 | 216万 |
1989 | 14万 | 199万 |
1988 | 12万 | 184万 |
1987 | 10万 | 172万 |
1986 | 10万 | 162万 |
1985 | 11万 | 151万 |
1984 | 11万 | 140万 |
1983 | 10万 | 128万 |
1982 | 12万 | 118万 |
1981 | 11万 | 106万 |
1980 | 11万 | 94万 |
1979 | 10万 | 83万 |
1978 | 9万 | 72万 |
1977 | 7万 | 63万 |
1976 | 4万 | 56万 |
1975 | 7万 | 51万 |
1974 | 12万 | 44万 |
1973 | 8万 | 31万 |
1972 | 5万 | 23万 |
1971 | 4万 | 17万 |
1770 | 5万 | 13万 |
1969 | 2万 | 7万 |
1968 | 1万 | 5万 |
※国土交通省の発表資料(2019年5月)より。千単位以下は切り捨て
古いマンションの増加見通し(戸数)
時期 | 築50年超 | 築40年超 | 築30年超 |
---|---|---|---|
2018年 | 6.3万 | 81.4万 | 197.8万 |
2023年 | 42.3万 | 138.1万 | 275.3万 |
2028年 | 81.4万 | 197.8万 | 366.8万 |
2038年 | 197.8万 | 366.8万 | 560.2万 |
※国土交通省の発表資料(2019年5月)より
マンション建替えの現状
老朽マンションの増加は、日本政府の課題になっています。 大きな地震が起きたときに、住民や周辺地域の安全が守られない恐れがあるためです。 老朽化マンションの建替えを推進するために、これまでに様々な制度が整備されてきました。 とりわけ2002年の「マンション建替え円滑化法」の制定は大きな制度改革でした。 しかし、国土交通省の調査によると、2004年以降に建替えができたマンションは244件(2019年4月時点)しかありません。
工事完了済(累計) | 244件 |
---|---|
実施中 | 23件 |
準備中 | 11件 |
※国土交通省の発表資料より。阪神大震災による被災マンションの建替えは含まない。
建替えのハードルは高い
マンションの建替えには高いハードルがあります。最大の難関は、マンション住民の合意形成です。建替えには住民の5分の4(8割)以上の賛成が必要です。 居住者のみなさんの利害や意見を完全に一致させるのは容易ではありません。
面積を増やして売却できるか
マンションの建替えによって新たな収入が得られるようなケースでは、比較的スムーズに話が進みやすいです。 建替えによって増えた面積を売却し、その資金で建築費などの建替えコストをまかなえる場合です。 これなら、住民が自己資金の持ち出しをせずに、建替えが実現できます。 これまでに建替えが実現したマンションの大半は、増床による新たな収入が見込める案件だったといいます。 しかし、容積率に余裕がなければ、建替えによって面積を増やすのは困難です。